丹鶴庵の内観

丹鶴庵の外観

丹鶴庵の内観

建築当初(明治41・4・19)、床の間付きの10畳間、12.5畳、囲炉裏のある18畳と9畳の4部屋で、戸障子を開放すれば、50畳のワンルームとなる。これに加えて、東面には風呂、キッチン、ボイラー兼更衣室・化粧室がある。南西のコーナーに玄関があり(大正8年増築)、それを挟んで南面におよそ13m、西面には11mほどの縁側を回している。
前記の10畳と12.5畳は襖で仕切られた続き部屋の縁側から武学流庭園が鑑賞できる。南の縁側から「前庭」を、北の9畳からは岩木山としだれ桜、リンゴ畑を眺められる。囲炉裏では、薪を燃やし、あるいは木炭を熾し、鍋をかけて煮炊きしながら食事し、一家団欒の場です。天井が高く、梁や小屋組が見え、柱、梁、壁が100年をこえて燻され続け、古風な趣きのある色つやになっている。
庭に興味をもつ数人の女性来庵者は、丹鶴庵を「美の壺」(TV番組名)のようだと評してくれた。また、東京芸術大学美術専攻の学生10人と教授が、7日間のゼミ合宿の製作活動をし、大いに楽しんでお帰りになった。この楽しむという感情が学びと創造を促進することをみたような気がして大いに愉快であった。丹鶴庵の中で、「残したいもの」として、「囲炉裏の火」、「高い天井の空間」、「煤けた梁と壁」、「煙の匂い」、「控えめの照明」、「廊下の板」、「庭の石」、「屋根」「敷物」等をあげて頂いた。
古民家の修復は、適切な材料の枯渇等によって困難になっている。板戸と廊下の杉板、調理台と風呂のヒバ材は、製材所の片隅で発見されたもので、燻された古い家に合うようデザインに工夫したつもりです。
縄文から続いてきた茅の屋根は、「消失」という一筋の道から「再生」という道を探してみたい。
和室まわりの障子には、ユネスコ無形文化遺産に登録されている、手漉きの細川紙を使っています。この和紙から入ってくる明かりは優しく、心が和むといわれます。こうした風情を令和の時代に残せたのは、この紙を探してくれた地元の表具師たちのご協力があったからです。
ラクダの背に乗せる織物、砂漠でお茶をする時の織物、タイの田舎で古い織物をつぎはぎした敷物、妻の妹がサウジアラビアにいた関係で入手したボロ絨毯などを楽しんでいます。
2019年弘前ねぷた祭見物に、東京の絨毯屋さん一家6 人が来られました。ネットの写真に写っていた、和室と砂漠の人たちの敷物という異質な文化の組み合わせに興味をもたれたようです。よく馴染んでいて勉強になりました、とのお褒めの言葉を頂いた。

  • 照明

    照明

  • 囲炉裏

    囲炉裏

  • 台所(青森ヒバの調理台)

    台所(青森ヒバの調理台)

  • 青森ヒバのお風呂

    青森ヒバのお風呂

  • 行燈

    行燈